見た目によるお位牌の種類・違いについて。塗り位牌・唐木位牌・天然木位牌・モダン位牌
位牌の種類について
位牌については様々な用語・呼び方があります。その中でも一番分かりやすい見た目と外観による位牌の種類をまとめました。見た目や制作方法の違いから、大きく分けて以下のような4タイプのお位牌に分けることができます。
塗り位牌(ぬりいはい)
塗り位牌とは本来は漆塗り(うるしぬり)、黒塗りのお位牌をそう呼んでいました。さまざまな技術が近代化した現在では漆以外の塗り方もできるようになり、漆にかなり似た質感のカシュー塗料や丈夫なウレタン塗装などバリエーションが広がりました。現在では表面を塗料で仕上げたお位牌を全体として「塗り位牌」と呼ぶようになっています。伝統的な漆塗りの特産地として漆器と同じく会津などがよく知られています。
黒塗りならではの色のイメージもあり、重厚で厳か、伝統的な雰囲気はまさにお位牌の定番ともいえます。一部に金箔や蒔絵を施したものも塗り位牌に含まれ、昔ながらの伝統的なお仏壇にかかせない伝統的なお位牌といえます。
その一方で漆塗りの品を除いては、とても廉価で入手しやすいお位牌にもなりつつあります。塗装の技術で簡易的に仕上げることができるため海外製の商品もかなり増えており、品質や価格にも大きな差が出やすい状況となっているようです。
唐木位牌(からきいはい)
黒檀・紫檀などの「唐木素材」でつくられたお位牌を呼んでいます。黒檀や紫檀などの高級な天然木は一般的に「銘木」「唐木」などと呼ばれ、重宝されています。
「唐木」という読み方は「からき」「とうぼく」と両方ありますが「からき」という呼び名が一般的です。古くは遣唐使の頃に海外から持ちこまれた木だったことや、海外のことをひと言で”唐”と呼んだことから「唐の木材:唐木」と呼ばれるようになりました。大きなくくりでは「天然木の位牌」となりますが、そうした高級な素材でつくったお位牌ですので特別な意味を込めて唐木位牌と呼ばれています。
特に黒檀などはその名の通り、ほぼ黒色に見えるような濃い色が特徴で、遠目からだと黒い塗り位牌のようにも見えます。ただ、素材自体がかなり高価で貴重なものです。また世界的に木材の需要が増えていることにより、年々その価格はあがる一方で現在ではさらに貴重な存在になっています。
天然木位牌(てんねんもくいはい)
天然木を主役として使用したお位牌です。広い意味では上記の唐木位牌も含みます。その中でも天然木の素材の良さと個性を活かしたナチュラルなデザインの品が多く見られます。現代のライフスタイルにあわせやすい自然な見た目と、優しい色味の天然木によるお位牌として近年主流になってきています。
お仏壇も家具調といわれる、インテリアに合わせた自然な雰囲気が主流となってきています。それと同じくお位牌の伝統的な部分や意味合いはそのままに、素材の活かし方や技術が工夫されています。
いのりショップのセレクトでも主流になりつつあります。日本に馴染みのある「さくら」や「ひのき」、天然木そのままの美しい色味をいかした希少な銘木なども定番です。塗り位牌の黒色とは逆に、明るい色味の位牌が主流となっているのが特徴です。赤ちゃんやお子さんのお位牌としては一番人気があるタイプです。
モダン位牌(もだんいはい)
近年は上記のお位牌以外にもさまざまな優れたデザインがつくられています。それらを総称した呼び方として使われることが多く、正確な定義はありません。
家具調位牌や蒔絵などが施された塗り位牌などにおいて、特に新しいデザインのものをモダン位牌と呼んだりします。素材としてはやはり天然木を使用した品が多く、デザイン性を高めて漆や箔仕上げ・寄せ木細工を一部に使用した位牌も多いようです。
やや変わった素材としては、クリスタルやガラスでつくられた「クリスタル位牌・ガラス位牌」といったお位牌もあります。またデザイナーによる斬新なデザインや、技術的に細かい趣向をこらしたアートのようなお位牌もあり、一般にモダン位牌として呼ばれています。
呼び方に決まりはありませんが、リビング位牌、インテリア位牌、家具調位牌、ナチュラル位牌などといった言葉が使われる場合もあります。全体として現在のお仏壇に置きやすいデザイン位牌、アート位牌として様々なお位牌が見られるようになりました。
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