いのりオーケストラの代表作「やさしい位牌」が生まれた背景、そしてデザインに込めた想い。
手の中でそっと包んで温めて。
祈りの優しい想い・人の温もりと結びつきを、やさしい佇まいで表現した位牌です。 手で包み込むイメージを連想する球体の台座が特徴です。 これからの供養がより暮らしに近づいていく中で、仏壇の形状やデザインを選ばず、これからもずっと故人と繋がっていけるように、人と暮らしにやさしい位牌を目指しデザインされています。
やさしい位牌が生まれた背景
近年では、位牌を飾る仏壇自体のデザイン・サイズも住環境に合わせて変化してきています。位牌についても同様であり、簡素化されはじめた供養は、より人や暮らしに近づいています。時代・暮らしと共に変化してゆく供養の礼式を捉え、位牌の置き場所の変化に対応する物理的な面と、手を合わせる人の気持ちや故人との結びつきを考慮したソフト面、その両面から課題の解決を模索しました。
デザインに込めた想い
多くの人にとって位牌は故人を象徴する大切な存在になると思います。見る度に少しでも心が和らぎ心情を重ねられるような、祈る人の気持ちと重なるような意匠を模索しました。また位牌の品位として、尊敬の念を無くさないように心がけたいと考えました。台座上部の切り立ったエッジより上には尊厳と緊張感が保たれるように配慮をしています。ときにやさしく、ときに厳しい。さまざまな心情と会話が出来るような形を探しました。
デザインで工夫した部分
『やさしい形』 360度どこまでも続く滑らかな光と影のグラデーションは、この形状ならではの特徴的な表現となっています。有機的な曲線で表した柔らかさと、終りなく続く唯一の図形である「円」の概念の一端を借り、祈りの想いに重ねています。一方で従来の位牌がもつ伝統的な要素を細部に表現しています。蓮座やニの板を踏襲した上部のエッジ部分や、位牌の足部分(框)の表現として底面の形状を工夫しています。 『どこから見ても美しく』 仏壇の横や背面から位牌を見た際にも、ごく自然に見えることを考慮しました。現代の住環境に合わせて仏壇自体がより小型化し、位牌との距離感が縮まっています。加えて開放的な家具調仏壇や、囲いをなくしたステージ型仏壇の普及により、正面以外から位牌を目にする機会も増えています。裏と表を無くすことで、どこから見ても自然な気品とシルエットを保てる回転体を採用しました。
グッドデザイン賞、審査員による評価
天然木の表情を活かしてつくることで、一般的な漆塗りの位牌にある重苦しいイメージを取り去っている。サイズも適度に小ぶりであり、この位牌の置き場所の自由度を拡げている。やさしい位牌のような暮らしの中に取り込める形で、故人との距離を身近に感じていたい、古くからのしきたりにこだわることなく、こうした新しいタイプの位牌を求める人には、亡くなった方の戒名をどうするかについて、手配方法を含めて情報のないユーザーも多いだろうから、その点に対してもやさしいシステムが標準化されていると言えるだろう。
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